Natural.H.Labコラム

自然界の法則に沿った食べ方とは?



無農薬の野菜やオーガニックの食品を食べることが、健康への一番の近道! また、それが「自然食」と思っている方も多いと思います。もちろんそれも「自然食」ひとつです。
でも、本当の「自然食」とは、自然界の法則に沿って食材を選び、調理をし、その土地や季節、 その方の体質や体調に合わせて食べることで体調をととのえていくことが、本当の意味での「自然食」と言えます。
では、自然界に沿った食べ方とは、一体どんなものなのでしょうか?

食べ物のパワーを "いのち” に生かす


「〇〇成分がカラダにいい!」「1日◯グラムの〇〇を食べなさい!」「〇〇に効果がある!」など毎日のようにマスコミがさまざまな健康情報を取り上げていますが、あまりにもたくさんの情報が飛び交い、どれが正しいのか?何をどう食べたらいいのか?わからない人がたくさんいます。
また、テレビや雑誌、企業の宣伝や広告、ネットの情報をそのまま鵜呑みにし、自分に合わない間違った健康法を取り入れることで、健康を害し、不調を訴える方も少なくありません。
では、いったいどんな食事をとれば、私たちは健康になれるのでしょうか?

カラダの不調の原因とは?



現代は、ガン、心臓病、糖尿病といった生活習慣病をはじめ、アトピーや花粉症などさまざまな症状に悩まされる人も多く、それ以外にも、冷え性、便秘、頭痛、ストレスなど、何かしらの不調を抱えている方もたくさんいらっしゃいます。
では、なぜカラダやココロの不調を訴える人がこんなに激増しているのでしょうか?

不自然な食生活



大地が育んだ旬のものには、私たちのカラダがその季節に順応して、毎日をイキイキと健康に過ごせつように調整する力が自然と備わっています。
それに比べ、ちまたに溢れる健康食品や栄養補助食品はどうでしょうか? ビタミンEやビタミンC、鉄分、カルシウムなどが添加されたさまざまな種類のサプリメントが販売されていますが、栄養成分や薬効成分だけを抽出してできたモノに、果たして「いのち」の働きが期待できるでしょうか?
数字上の栄養素のつじつまさえ合っていれば、何でもいいというものではなく、本来、何かを食べるということは、”生きるため” に "いのち” をいただく行為であり、このあたりまえのことが、意外と忘れられてしまっているのが現代なのかもしれません。
日本は、世界の長寿国でありながら、寝たきり老人がこれほど多いのはいったい何故なのでしょうか?
また生活習慣病に悩まされる方、心やカラダの不調を訴える方が激増、子供たちのいじめ問題、青少年犯罪も増加の一途、鬱など精神疾患、不妊問題など、便利な世の中になった反面、自然から離れ、現代の食べ物や食べ方など不自然な食生活になったことが少ながらず影響しているのは間違いないようです。

戦前の日本食が脚光を浴びている?!



「タンパク質が足りない!」と動物性タンパク質信仰におどらされ、「味噌汁は高血圧の原因になる!」「米を食べるとバカになる!」と根も葉もない学説が流布し、ご飯と野菜中心の食事が、パンや肉、乳製品などの欧米食にとって代わり、肉と砂糖の消費量が増えるのと反比例して、お米の消費量は半分になり、その結果、生活習慣病やガン、更年期世代の女性の乳ガン・子宮ガンが激増したのは周知の事実です。
また、精製されたり、加工されたり、化学薬品で処理された加工食品が増え、砂糖たっぷりの甘いお菓子が氾濫したことが精神面にまで悪影響を及ぼしていることは、今は科学的にも立証されています。
その一方で、動物性タンパク質の過剰摂取が健康を害すること、穀物にこそ理想的な栄養バランスがあることが、欧米では指摘されており、かつて粗食とバカにされた戦前の日本食が脚光を浴びているのはなんとも皮肉なことです。

自然の摂理に沿った食べ方に戻す



いったいどんな食事にすれば、私たちは健康になれるのでしょうか? 自然から離れたことが病気の原因であるならば、本来の姿、つまり自然の摂理沿った、その土地の気候風土にあった食に戻せばいいということになります。
自然の中にこそ、最高の栄養学があり、はつらつと輝き、"いのち” ある食べ物をありがたくいただくことで、食のもつパワーを ”いのち” に生かすことができます。
食べ物は、心身を養うと同時に、カラダの調子を整えてくれる働きも持っています。また、食は私たちの "いのち” を育み、人間性を培ってくれる原点でもあります。まずは、食べ物の持つチカラや働きを知ることが、健康への近道なのではないでしょうか。

健康の秘訣は、地元の作物を丸ごと食べること!


自然から離れたことが、私たちのカラダを狂わせ、さまざまな不調を招くことは先ほど述べましたが、自然の摂理に沿って、その土地の気候風土にあった食に戻すためにはどうしたらいいのか?をここでは考えてみたいと思います。

身土不二



「身土不二」とは、身(人のカラダ)と土(環境・大地)は、一つであるという考え方で、日本では昔から「三里四方のものを食べる」といって、徒歩で行ける範囲のものを食べていれば健康で暮らせる!という考え方がありました。
四季折々の豊かな日本に暮らす私たちのカラダは、春夏秋冬で少しずつ変化し、同じ日本でも暖かい沖縄に住む人と、寒い北海道に住む人では、生まれ持った体質も違えば、それぞれに合わせた食べものや食べ方があるのは当然のことです。
熱帯地方では、体内の熱を下げる働きがある作物が育ち、寒い地方では、体内を温める働きがある作物が育ちます。もし、日本に住む私たちが、全く異なった気候風土でとれる熱帯地方のフルーツやコーヒーを寒い真冬にとったらどうなるでしょうか? きっとカラダはビックリするに違いありません。
四季のある日本では、やはり日本で育てられた作物を食べるのが一番カラダにやさしく、太陽や土、水の恵みが最高潮に達した旬の食材をとることで、カラダが必要としているものがすべてまかなわれ、自然とカラダのバランスが整い、健康で快適に過ごせるようになっていきます。
「身土不二」の考え方があらわすように、人も作物も同じ土(環境)で育ち、人の命を支えているものが食べ物であり、食べものは土が育てることからも、その土で健康に育った作物を食べることが、環境への適応能力を一番高め、私たちを健康にしてくれるのではないでしょうか。

一物全体



「一物全体」とは、”ひとつのものを丸ごと食べる” という意味で、食材そのものは、丸ごと全部でバランスが取れており、穀物なら精白していない玄米、野菜も皮をむかず丸ごと全部をとることで、カラダのバランスがとれるという考え方です。
米は、玄米で食べることでほぼ完璧な栄養バランスをもつと言われており、白米のように精白して食べるということは、栄養価を失うだけでなく、食材そのもののバランスも崩してしまいます。江戸時代、脚気(かっけ)が流行ったのも、胚芽部分に含まれるビタミンB1をそぎ落としてしまう白米中心の食事になったことが原因でした。玄米は、土に蒔けば芽が出ますが、精白してしまった白米には、蒔いても芽が出る生命力はありません。生きる ”いのち” をもった玄米に対し、白米は "いのち” を失った食べものということになります。根菜も同じで、”いのち” の再生や活性化に必要なパワーは、すべて ”丸ごと" の作物に備わっています。
また、野菜の栄養素は、皮の部分に一番たくさん詰まっており、サツマイモを食べた時に感じる胸焼けや胃もたれ感は、皮ごと食べることで、皮に含まれる成分が自然と解消してくれます。 食材は、”まるごと食べる” ことで、栄養のバランスだけでなく、それを体内で消化する代謝要素もすべて入っている!生命力豊かな食べ物であり、 "丸ごと食べる” ことが、私たちのカラダに負担をかけない食べ方ともいえます。

食べることの「究極の目的」とは?



私たちは、何のために食べるのでしょうか? 生きるため? 健康のため? 実は、食べることの究極の目的は、健康のためではなく、幸せに生きるため。 幸せに生きるために健康が必要で、そのために食べ物の力を借りるわけです。
幸せに生きるための健康を左右するのが、家庭の台所であり、一番身近にあって、一番大切なものが、自分と家族の幸せです。自分と家族の健康を管理し、幸せに導くのが、家庭の主婦(夫)の大切な役割なのです。

愛情表現=料理



自分と家族を幸せに導くために、あえてご馳走を作る必要はありません。食べる人の体調や、食べる人の気持ち、さまざまなことをくみとり、体調をととのえてあげようとする思いやり、愛情表現が、イコール(=)料理ということになります。
家族のそれぞれが何が好きかと考えて料理したり、一人ひとりに合ったものを考えて作る、家族がみんな健康で、幸せで、元気になるごはんというのは、台所を通して家族がつながるということにあるのかもしれません。
「作って、みんなで食べる!」そんなシンプルなことが、家族の結びつきを強め、病を遠ざけ、家族に健康と幸せをもたらしてくれるのではないでしょうか?
けっして "ごちそう” を作ることが、愛情ではありません。 質素ながらもバランスのとれた、”いのち” ある食材を丸ごと調理し、家族そろって楽しくいただくこと、それが健康のカギであり、幸せへの近道だと思います。

「いただきます」が意味するもの



同じ料理でも、「作って食べる」のと「買って食べる」のでは、大きく異なってきます。 「何を食べるか?」を考える前に、日々の生活に台所があるかどうか?がとても重要になってきます。
特に、頭ばかりを使い、情報に溢れた現代社会の中で、作物や食材を通して自然に触れ、カラダと手を使い、五感を働かせながら料理をすることはとても大切なことです。
食べ物の "いのち” が、私たちのカラダの中でもう一度生かされることは、「いただきます」という言葉があらわすようjに、「あなたの "いのち" をいただくことで生かされていただきます」という祈りも込められています。
食べるということは、”いのち” あるものが、次の "いのち”  にバトンタッチするという宇宙の循環法則なのです。栄養素や成分だけを摂取することではなく、その土地で育つ作物やその風土がもつ生命のバランスや、次世代に精をつなぐことができるパワーを取りこむことです。
利益ばかりを追求した生命力の薄い食べ物や加工品を食べること、自分の欲望のままに食をむさぼることは、自然へのルール違反であり、結果として、私たちの病気の原因にもなっていることも忘れてはいけません。 環境問題や地球の温暖化なども、すべては自然の摂理を無視した結果として起こっている現象です。
自然の理(ことわり)を理(はかる)ことで、すべての人が健康で、幸せな生活を送れるように、もう一度、食について見つめ直してほしいと思います。